顎や顔の痛みが、眠りを乱している?
顔や顎に起こる慢性的な痛み(顎顔面痛:Orofacial Pain, OFP)が、睡眠の質に大きく影響していることが、近年の研究で明らかになっています。
2023年に発表されたRavindranathらの研究では、顎顔面痛患者の多くが睡眠障害を経験しており、痛みが強いほど睡眠の質が悪化することが示されました(Ravindranath et al., 2023)。
つまり、
- 痛いから眠れない
- 眠れないからまた痛くなる
という、心と身体をすり減らす悪循環に陥りやすいのです。
睡眠障害が引き起こすさらなる悪影響
睡眠不足は、ただの疲労感だけでは終わりません。
- 痛みの感受性が高まる
- 情動ストレスが増す
- 神経系がさらに過敏になる
といった変化が起き、慢性痛をますます深刻化させてしまうのです。
だからこそ、睡眠を整えることは、単に「よく眠るため」だけでなく、慢性痛そのものを改善するためにも欠かせないケアなのです。
顔や顎の痛みにやさしくアプローチする――**DNM(デルモニューロモジュレーティング)**とは?
こうした慢性的な顎顔面痛に対して、いま注目されているのがDNM(Dermoneuromodulation)という徒手療法です。
DNMでは、皮膚にそっと触れながら、皮膚と神経のコミュニケーションを整えていきます。
顔へのDNM施術で期待できる効果
- 顔面神経や三叉神経へのやさしい刺激で、痛み信号の過剰な伝達を落ち着かせる
- 皮膚と神経のバランスを整え、神経系全体の安定を促す
- 副交感神経を活性化し、リラックス反応を引き出す
力強いマッサージや押圧は行わず、ごくソフトなタッチで施術を進めるため、痛みが強い方や敏感な方でも安心して受けられます。
DNMがもたらす、眠りへのプラス効果
DNMのやさしいアプローチは、痛みの緩和だけではありません。
皮膚を通して神経系に働きかけることで、副交感神経を刺激し、心身を深くリラックスさせる効果も期待できます。
その結果として:
- 神経の興奮が鎮まり
- 筋肉の緊張が緩み
- 呼吸が深まり
- 眠りやすい状態が整っていく
という、睡眠への好循環が生まれるのです。
慢性痛と睡眠障害、両方に悩む方にとって、DNMは痛みと眠りを支える新しい選択肢となるかもしれません。
まとめ
✅ 顎顔面痛は、睡眠障害と密接に関係している。
✅ 痛みと睡眠障害は互いに悪化させ合う悪循環を作る。
✅ DNMは、顔面神経へのやさしい刺激で、痛みとリラクゼーションを同時に促進できる。
✅ 良質な睡眠を取り戻すことは、慢性痛改善への大きな一歩になる。
あなたの痛みと眠りに、やさしく働きかけるケアを。
皮膚と神経を整えるDNMというアプローチを、ぜひ取り入れてみてください。
参考文献
Ravindranath, P. T., Smith, J. G., Nia, N. R., Ebelthite, C., & Renton, T. (2023). Sleep disturbances are associated with pain intensity and pain-related functional interference in patients experiencing orofacial pain. Journal of Oral Rehabilitation.